相続放棄と残置物——勝手に処分していい?大家さん・ご家族が最初に知っておくこと

賃貸の入居者が亡くなり、ご遺族から「相続放棄するので荷物は引き取れません」と言われた大家さん・管理会社さん。あるいは、実家の相続放棄を考えているけれど、家財がそのまま残っているご家族。

どちらの立場でも、悩みは同じところに行き着きます——「この残置物、触っていいのか?」

結論から言うと、触る前に確認、が鉄則です。残置物の扱いを間違えると、ご家族は相続放棄に影響が出る場合があり、大家さん側は後からトラブルになることがあります。この記事で、最初に知っておくべき基本を整理します。

※本記事は一般的な制度の解説です。個別のケースの法的判断については、必ず司法書士・弁護士にご相談ください。ご希望があれば、相談内容に応じた地域の専門家をご案内します。

いま現場で困っている方へ:状況をLINEでお送りください。「いま触っていいもの・いけないもの」の整理からご一緒します。大家さん・管理会社さんからのご相談もお受けしています。(相談料・紹介料は0円です)
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大前提——残置物は「亡くなった方の財産」

部屋や家に残された家財は、ゴミに見えても、法律上は亡くなった方の財産(相続財産)です。これがすべての出発点になります。

  • ご家族であっても、相続の方針が決まる前に処分すると、問題になることがあります
  • 大家さんであっても、自分の物件の中にあるからといって、勝手に処分することはできないとされています。契約書に「残置物は処分できる」という条項があっても、実際の運用には慎重な検討が必要です

「たかが古い家財」に見えるものが、後から大きな争いの種になる——これが残置物問題の怖いところです。

相続放棄を考えているご家族へ

手を付ける前に、知っておくこと

  • 相続放棄には期限があります。相続開始を知ってから3か月以内に家庭裁判所での手続きが必要です(葬儀後の手続き一覧はこちら
  • 放棄の前に財産を処分すると、相続を承認したものとみなされる場合があります。家財の処分・売却はもちろん、形見分けの内容によっても影響が出ることがあるとされています。放棄を少しでも考えているなら、家財に手を付ける前に専門家へ——これがいちばん大切なポイントです

2023年に、放棄後のルールが整理されました

2023年4月の民法改正で、相続放棄をした後の義務の考え方が整理されています。

  • 放棄後に義務を負うのは、放棄の時点でその財産を「現に占有」していた人(実際にその家に住んでいた・管理していた人)とされています
  • 義務の内容は「保存義務」——財産の現状を維持する程度のもので、積極的な管理や活用までは求められないとされています

つまり「放棄したのに一生管理させられるのでは」という以前よく聞かれた不安は、現在のルールでは整理されています。ただし、ご自身のケースで義務があるかどうか・いつまで続くかの判断は、状況によって異なります。ここは自己判断せず、専門家に確認してください。

大家さん・管理会社の方へ——初動の整理

入居者が亡くなった直後の対応は、後の展開を大きく左右します。

やらないこと

  • 相続人(または連帯保証人)の同意なく、残置物を処分しない
  • 契約書の条項だけを根拠に、搬出を強行しない——トラブルや損害賠償につながるおそれがあります
  • 室内の物品を「価値がないから」と自己判断で仕分けしない

やること

  1. 記録を残す。室内と残置物の写真・リストを作成しておく(後の協議・精算の基礎になります)
  2. 相続人・連帯保証人への連絡と確認。相続人が放棄する意向なら、その後の進め方は法的な整理が必要になります。相続人の調査や合意書面の作成は、司法書士・弁護士と連携するのが安全です
  3. 合意は書面で。残置物の処分に関する同意は口頭で済ませず、書面に残す

空室期間の損失を考えると急ぎたくなるのが実情だと思います。だからこそ、初動で法的な整理を挟むことが、結果的にいちばん早い——これは多くの現場で共通しています。

法的な判断と、現場の実務は分けて考える

残置物の問題は、ふたつの層でできています。

内容担い手
法的な判断処分していいか・誰の同意が必要か・書面の整え方司法書士・弁護士
現場の実務記録作成・仕分け・搬出・保管・リユース・処分の実行・原状回復私たちのような現場の事業者

「実家のこれから相談所」は、後者の現場実務を、専門家の判断と連携しながら担う窓口です。法的な整理がついた残置物について、使えるものはリユースへ、残りは適正に——という実行部分をお手伝いします。判断と実行の両輪が揃うと、残置物問題は前に進みます。

例えば、こんな相談の流れになります

柏市の賃貸物件で入居者が亡くなり、ご遺族が相続放棄の意向を示したケース(管理会社Hさんからのご相談)。

  1. まず「現時点で触らない」ことを確認し、室内の写真記録の取り方をご案内
  2. 相続放棄・同意書面の法的な整理は、地域の司法書士をご案内
  3. 法的な整理がついた後、残置物の搬出・リユース・処分を実施
  4. 原状回復までの段取りを管理会社さんと共有して完了

士業・不動産管理会社の皆様へ

残置物案件は、案件単位でのご相談をお受けしています。「法的な整理は済んだが、現場を動かす事業者を探している」「相続人対応の入口から相談したい」——どの段階からでも結構です。流山・柏・松戸・野田など東葛エリアの現場に対応しています。

迷ったら、触る前にご相談を

残置物問題は、最初の一手で難易度が変わります。

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シリーズの続きはこちら:残置物処分の進め方——4ステップ相続人が誰もいないときの出口——相続財産清算人

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